弁護士 南木 ゆう
1 クルドヘイト訴訟
昨年12月27日、日本クルド文化協会を原告として、日本街宣倶楽部の渡辺賢一に対する街宣活動差止及び損害賠償を求める訴訟を提起した。同氏は、街宣活動でクルド人に対するデマやヘイトスピーチを繰り返しており、昨年11月21日に、さいたま地裁において、同氏に対する街宣活動を禁止する仮処分決定が出ていたが、その後起訴命令が申し立てられたため、訴訟の提起が急がれていた。
私はこれまでこの件に全くノータッチでいたが、関わっている弁護士からの報告を受けるにつれ、クルド人が、日本で酷いヘイトにさらされながら日常を生きている現状が、ここ埼玉川口にあり、埼玉総合の一因としては何とかしなくてはいけない問題だと感じていた。また、中心的に活動していた在日の弁護士が、ヘイトの標的にされたことに憤りを感じ、弁護団の一員となった。
とはいえ、私は今まで全く外国人問題に関わってきていないし、クルド人に対する知識・理解も圧倒的に不足している。PKKって何?クルドってどこの国?という状態からのスタートであったため、果たして戦力になれるのか今でも自信はない。しかし、前職のつながりからX(旧Twitter)における誹謗中傷に対する発信者情報開示命令の申立は、複数回行っている経験があるため、その知識と経験を少しでも弁護団のお役に立てることができればと現時点では考えている。
2 発信者情報開示
令和4年10月1日、プロバイダ責任制限法が施行され、発信者情報開示命令という新しい非訟手続が創設され、今までよりも格段に発信者情報の開示が楽になったといわれている。
しかし、(詳しい説明は省くが)アクセスプロバイダーのログ保存期間(3か月のところが多い)からすると、結局のところ仮処分申立を併用せざるを得ないし、コンテンツプロバイダーに対する仮処分決定が出た後も、間接強制の申立、アクセプロバイダーへの発信者情報開示命令申立までは時間との戦いは続くし、何だかんだ結構手続は面倒だ。
やっと個人のメールアドレスまで特定できた!と喜んだのも束の間、弁護士会照会に対応しない通信会社もあり、結局開示された情報をもってしても、個人を特定するまでに至らない件も多い。個人が特定できたとしても、1件1件で取れる慰謝料は限られていて、経済的価値だけをみてしまうと、ペイできるものはほとんどないと考えた方が良い。でも、割に合わないと思ってやめてしまったら、そこで終わってしまう。
実際、運良く特定ができて投稿者に慰謝料を請求すると、投稿者は「軽い気持ちでやってしまいました。」と平謝りの若い子が多い。ここまでしないと、「軽い気持ち」で人を傷つけてはいけないことに気がつけないのかと落胆する反面、確固たる信念をもってヘイトしている人は、本当は少数しかいないのではないか、という期待にもなる。
3 本題-クルド訴訟に対する支援のお願い-
クルドの方達に対するSNS上のヘイトスピーチは、次から次へと湧いてくる。例の戸田市議や一部のマスコミ等、クルド人のヘイトに加担する者もいて、これらに対応するには、ともかく人手が必要だ。今後、被害を受けているクルドの方達への聴き取りにより、訴訟で被害の実態をアピールする必要があるが、ここでも人手が必要となる。
まだ弁護団に入っていない先生方、ぜひともお力をお貸しください。