自由法曹団 埼玉支部

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埼玉アスベスト弁護団報告

埼玉アスベスト弁護団報告

令和7年3月12日

竹内 和正

第1 埼玉アスベスト弁護団

 1 構成

団長:南雲芳夫、事務局長:竹内和正、事務局次長:佐藤智宏、増田悠作

弁護団員(実働):20名程度

2 取り組み

アスベスト被害の救済と撲滅を目指し、現在、①首都圏建設アスベスト訴訟、②工場型アスベスト国家賠償請求訴訟のほか、③アスベスト個別事件事件に取り組んでいます。その他、アスベスト相談を随時受け付けています。

 

第2 首都圏建設アスベスト訴訟

1 概要

⑴ 建築作業に従事した結果、石綿関連疾患に罹患した大工等の建設作業従事者が、アスベストの危険性を認識していながらアスベストの使用を規制せず、積極的に使用させ続けた国と、アスベストが含まれた危険な石綿含有建材を製造し続けたメーカーに対し、損害賠償を求めている訴訟です。埼玉弁護団は、1陣、2陣は東京訴訟に参加し、3陣以降はさいたま地裁に提訴しています。

⑵ 東京1陣訴訟

約17年前である2008年5月16日、東京地裁に提訴し、2021年5月17日、ようやく国と建材メーカーの責任を認める最高裁判決がだされています。同月18日、当時の菅総理から謝罪を受け、国と基本合意を締結した結果、国は訴訟係属中の原告と訴訟上の和解をし、「建設アスベスト給付金法」を成立させ、同水準で裁判を起こしていない被害者にも支払いも行っています。

他方、一部メーカー責任については東京高裁に差戻されましたが、これも2023年10月10日に結審を迎えました。そして、2024年12月26日、結審から約1年2ヵ月を経て、建材メーカー7社に対して、原告234名(和解対象原告の約92%)に総額40億円超の和解金を支払うことを内容とする裁判所和解案が示されました。一部の原告について建材メーカーの責任が認められない等、不十分な点はありますが、認容率や賠償額はこれまでの判決との比較から高い水準であるといえること、認定されなかった原告も含めて裁判所和解案を受諾することは全面解決への強い決意表明となること、なにより早期解決は原告らの悲願であることから、原告団は裁判所和解案を受諾することを裁判所に伝え、建材メーカーに対して個別の申入れを行い、真摯な謝罪とともに和解に応じるよう全面解決の実現を迫っています。

⑶ 東京2陣訴訟

2014年5月15日、東京地裁に提訴し、国と建材メーカーの責任を認める東京地裁判決がだされ、東京高裁においても2024年3月1日に結審を迎えました。そして、2025年1月31日、東京2陣においても、概ね東京1陣の裁判所和解案と同様の基準で、建材メーカー5社に対して、原告82名(和解対象原告の約82%)に総額11億超の和解金を支払うことを内容とする裁判所和解案が示されました。残念ながらこちらも一部原告について建材メーカーの責任が認められない等の不十分な点がありますが、東京1陣と同様に裁判所和解案を受諾し、東京1陣・2陣の原告が団結して建材メーカーに対して和解解決を迫ることとしています。

⑷ 埼玉訴訟(3陣)

①2020年3月24日、②2020年12月23日、③2022年6月7日にさいたま地裁に提訴し、さいたま地裁第2民事部において併合されて審理されています。現在の原告数は85名(被災者数65名)です。

2025年6月18日の結審が予定されており、埼玉訴訟においても早期解決にむけて建材メーカーとの和解が検討されることになります。

2 課題

⑴ 建設アスベスト訴訟は、これまでの長い訴訟の中で、最高裁判決とそれに続く国との基本合意、「建設アスベスト給付金法」の創設・施行というかたちで、国との関係では、(完全なものではありませんが)多くの被害者が救済を受けることができています。

他方、いまだ建材メーカーは責任を認めず、係属中の訴訟で加害責任を争い、補償基金制度への参加や拠出を拒んできています。

⑵ そのような状況において、上記のとおり、東京1陣訴訟と東京2陣訴訟において、立て続けに裁判所和解案が提示されました。

全国でも最大規模の両訴訟において、建材メーカーとの和解が成立すれば、係属中の全国の建設アスベスト訴訟に大きな影響を与えることになり、また、補償基金制度への建材メーカーの参加や拠出に向けた大きな一歩となります。

首都圏建設アスベスト訴訟は、現在まさに全面解決に向けた最大の山場を迎えています。

⑶ 建設アスベスト訴訟を起こした原告の方のうち、提訴後に亡くなった原告の方の人数は300名近くにも及んでいます。

弁護団としては、生存原告の皆さんの悲願である「生きているうちに解決を」図るべく引き続き尽力いたします。

以上

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