自由法曹団 埼玉支部

自由法曹団は、憲法改悪阻止、戦争法・共謀罪廃止のために奮闘しています。

声明・意見書

憲法とは何か

私たちは、日本国憲法の三大原則は,①基本的人権の尊重・②国民主権・③平和主義と習ってきました。

ところで、憲法とはどのようなものなのでしょうか。

一言でいうと、憲法とは,国家権力を規制=縛るものとして制定された法規範です。これは、国家権力の濫用によって、国民の権利が侵害されてきたことという歴史的事実がもととなっています。

そこで、日本国憲法は、10条以下40条に至るまで詳細な人権規定を置くとともに、国家権力が強大な力を持ちすぎると、憲法が保障する諸規定であっても人権が躁躍される可能性が高くなることから、さらに、国家権力を立法(第4章)、行政(第5章)、司法(第6章)と三権に分け(三権分立)、さらに、国家権力に対比されるものとして地方自治(第8章)についても定め、権力を細分化するとともに、99条で、権力を行使するものに対して「憲法尊重擁護義務」も課しています。

このように、そもそも憲法とは、権力者=為政者に対する不信感から、その勝手気ままな行動を制約するためのものなのですから、権力者=為政者にとっては、邪魔な存在となります。そのため、権力者=為政者が、もっと勝手気ままに動きたくて、自分たちに都合良いように憲法を変えようとするのは、ある意味、当然の要求といえます。

そして、このことは、反面、国民からすれば、自分たちの権利が制限されるということに直結するのです。

国民から沸き上がる改憲要求であれば別ですが、上からの改憲要求であ
る場合には、国民のためになる改憲など存在しないことは、肝に銘ずべきです。

弁護士 青木 努